<挿し木で手軽に素材が作れる>
挿し木は素材づくりの方法として良く使われる方法です。親となる樹が一つでもあればそこから何十本も素材を得ることができます。
・挿し木は親の性質を受け継ぐので「性」に注意
「性(しょう)」とは樹の持つ性質を表す言葉です。同じ種類の樹であっても葉の大きさや形が微妙に違っていることがあり、葉が小さくまとまる性質を「小葉性」と呼んだりします。盆栽は特に小さく凝縮された姿を求めるので葉性(はしょう)は重要です。「性は名人でも敵わない」というように性は変えることができません。葉が大きい性のものを盆栽として小さく長く育てたとしても葉性は大きいままということです。挿し木は親樹の性質を100%受け継ぎます。ですのでせっかく挿し木して素材を作るのであれば、親となる樹をしっかり選んで良い性のものを繁殖しましょう。
・挿し木が難しい樹もある
一般的に園芸品種として出回っているものは挿し木が難しいものが多いです。モミジの園芸品種や梅(難波性と野梅を除く)、一才性旭山桜などがあげられます(富士桜系であればできます)。これらはほとんど接ぎ木で作られています。また、黒松や五葉松は挿し木しても活着率(成功率)が非常に低く、多くは実生または接ぎ木で繁殖されます(例外として五葉松「瑞祥」は挿し木でも活着します)。そのほか、花カイドウも挿し木が難しい樹種です。
・春挿しと緑枝挿し
挿し木は大きく分けて春挿しと初夏の緑枝挿しがあります。春挿しは芽吹く前の3月頃に前年枝を挿す方法です。枝を3節から4節ほどに切り、挿し床に挿していきます。一方、緑枝挿しは梅雨挿しとも言い、その年に伸びた新梢を使います。緑枝挿しも3節から4節ほどに切った枝を使います。先端部分は萎えてしまうので切り取り、葉も1枚か2枚だけ残すようにします。
・挿し床