<簡単だけど一番難しい水やり>
・まずは定期的に
水やりは冬の寒い時期を除いて毎日行います。「水やり3年」と言われるくらいですから、樹々の状態を見ながら適切な水やりが出来るようになるには少し時間が掛かります。基本として「表面が乾いてきたら水をあげる」と覚えておいてください。しかし、鉢の大きさや用土によって乾く速度が違います。まだ慣れていない方や仕事で時間がないという方は、「朝6時」とか「帰宅してから」というように定期的に決まった時間にあげるようにしましょう。
(朝の水やり)
水やりの回数の目安です。
・春ー1日1回
・夏ー1日2~3回
・秋ー1日1回
・冬ー2~3日に1回
表面の土が乾いてきたらたっぷりと水をあげましょう。「たっぷり」というのは鉢底から水が出てくるくらいの量です。表面にさらっとかけるだけだと鉢底まで水が届いていない場合があります。樹の根は表面でなく鉢底にありますから、水が底から抜けるまであげます。
・表面の乾き
表面の乾き具合は土の色で判断できます。一般的に使用する用土である赤玉土は濡れると濃い茶色になり、乾いてくると白っぽくなります。サツキで使用される鹿沼土も同様です。
用土に山砂が使われている時はよく観察して下さい。湿っている時と乾いた時の差があまりないため注意が必要です。乾いたときは色が少し明るくなります。
・用土と土粒による保水性の違い
保水性とは土がどのくらい水を保つことが出来るかを表すものです。水持ちの良い用土であれば潅水回数も減ります。逆に保水性が低ければ頻繁に水やりをする必要があるということです。
保水性の高い用土は、赤玉土、鹿沼土などがあります。そのほかバーミキュライトやピートモス、荒木田土、腐葉土などがありますが、これらの用土は盆栽用土として多く使用されません(バーミキュライトは取り木や挿し木に使われることがあります)。
保水性の低い用土は、山砂やボラ土(日向土)、桐生砂、富士砂などがあげられます。
用土の粒の大きさによっても保水性は変わってきます。赤玉土などは大粒、中粒、小粒、細粒というふうに粒の大きさで分けて販売されています。粒が大きいほど隣り合う粒との隙間が大きくなるため水はけは良くなりますが保水性は低くなります。粒が小さくなれば密度が増すため用土全体が保てる水の量が多くなります。
水やりの頻度を考えると、保水性の低い大粒の山砂を使った場合は乾く速度が速いため水やり頻度が高くなり、粒の小さい赤玉土を使えば回数も少なくて済むということです。仕事などで水やり回数に限度がある方は、保水性の高い用土で粒の小さい物を使うと良いでしょう。
・夏の対策
気温が高くなると乾きも激しくなります。昼間に水やりが出来ればよいのですが、朝や夕方にしかできない方は二重鉢をおすすめします。浅いトレーや大き目の鉢に砂を敷き、その上に鉢を乗せる方法です。下に敷いた用土が水分を含んでくれるので乾く速度を遅くすることができます。元気のよい樹は鉢底から根を出しますので、定期的に切っておきましょう。
・水通りが悪いと思ったら…
「鉢底から水が抜けるまで」と述べましたが、表面に水が溜まってなかなか浸み込まないものも出てきます。こういう鉢は用土が潰れて泥状になっているか、根が充満している証拠です。植替え時期であれば植え替えるようにしてください。時期が悪ければ鉢から抜いて、大き目の鉢に粒の大きい用土を入れ、その中にすっぽりと入れてください。根捌きは植替えの時期に行うようにしましょう。
(水通りが悪い…)
・雨の日は…
「梅雨の時期は傘をさして水をやれ」という言葉があります。梅雨のシトシト雨は樹の葉や枝にはじかれて鉢まで届かないので、鉢底まで届くようにしっかりと水をやれということです。長時間降り続けば潅水を控えても良いでしょうが、パラパラと降る程度であれば水をやっておいた方がよいでしょう。また、「降りそうだから…」といってやめてしまうと、降らなかった時が困りものです。土砂降りの時以外は、降りそうだなと思っても水をやっておくほうが安心です。