<盆栽の置き場>
盆栽は屋外で育てます。室内に置くのは飾る時の数日間だけです。自然では日光を浴びて風を受けながら育ちますから、樹木を室内で育てると弱ってしまい枯れることもあります。置き場は日照が確保できて、風通しの良い場所を選んでください。*置き場のことを「棚場」と言います。
(南向きの場所)
・理想的な棚場
理想を言えば、「風通しが良く日照時間が6時間以上確保できる南向きの庭」です。日当たりは重要で、特に黒松や五葉松などの松柏盆栽は日光を好むため、日照時間は長ければ長いほど良いです。風通しを良くするため、地面近くには置かず、腰の高さくらいの置き場を作りその上に盆栽を並べます。地面に近いと雨が降った時に泥が跳ねることもあり、また病害虫が発生しやすくなります。 ただし、現在の住宅事情を考えると理想とする棚場を作るのはなかなか難しいところです。
・ベランダ
小さな盆栽を持っている愛好家の中でも「ベランダ盆栽」をやっている方は多いのではないでしょうか。場所が狭いというデメリットはありますが、日照が確保できて風通しも良いのではないかと思います。
・建物/ガレージの屋上
建物やガレージの屋上も棚場を作れる場所です。周りに遮蔽物がなければ日照を長く確保できます。ただし、コンクリートの上だと照り返しで温度が上がりやすくなります。また、風通しも良くなるため、そのぶん乾燥にも注意が必要です。
<我が家の棚場>
恥ずかしながら我が家の棚場紹介です。「理想の棚場」でも述べたように、住宅街で盆栽置き場の環境作りは難しいものです。我が家の棚場はスペースも広くないですし日照も短い方ですが、それでも小さな盆栽を管理しています。家を囲むように東、西、南側に置いてあります。「うちは無理かな…」と諦める前に参考にして頂ければ幸いです。
西側ーこの場所は年間を通して日照が2~3時間ほど。建物に太陽光が遮断されるので太陽光は11時頃から2時頃までしか入りません。ただ、日陰になっても間接光が入るので割と明るいです。(下)
(棚場参考1)
東側ーこちらは春、秋、冬の午前中のみ太陽光が入ります。夏は太陽が真上に来るため建物の隙間からしか光が入ってきません。夏の日照は1時間程度です。(下)
(棚場参考2)
南側ーここは4月~10月までしか日照が入りません。(下左)冬の間は南側の建物の陰になり写真の赤い線の部分までしか光が入ってきません。間接光が入るので多少明るくなりますが、それでも一日中日陰の状態です。夏の間は6時間ほど光が入ってきます。夏は日が入るけど冬は陰になるというお宅もあるかと思います。ここは典型的な例です。(左)
その場所に置いてある黒松。(下右) 黒松には「6時間以上の日照が必要」と言われますが、10月終わりごろから3月まで完全に日陰になるこの場所でもある程度育ってくれます。
ご参考まで…。こちらは北側に地植えされているサツキです。(下左) 年間を通して直射日光は「まったく」当たりません。サツキも日光を好む樹種ですから、本来はもっと環境の良いところに植えてあげた方が生育は良いでしょう。しかし、日光が当たらない場所でもご覧のように枯れることはありません。まったく日の当たらない場所でも蕾を付けて毎年咲いてくれます。(下右)
こちらも参考まで…。ベランダ盆栽をやっていた頃の棚です。下の段は光が入りずらいですが、少ないスペースでもこのように棚場を作ることが出来ます。白いカゴは30cmx40cmくらいの大きさで、ミニ盆栽であれば一つのカゴに5~10鉢ほど入ります。(下)
(棚場参考7)
日照が少なければ松柏以外の雑木盆栽(モミジなど)や草物盆栽をやってみるなど、色々とやり方はあります。工夫次第で何とかなるものですから一度考えてみてはいかがでしょうか?